Musica Argentina Brasileira All Frontiers


by sh2o

Caetano Veloso

愛知県芸術劇場へカエターノ・ヴェローゾを聴きに行った。
正直に告白するとカエターノの何がいいのかが理解できていなかった。好きな曲も好きなアルバムも特になし。ブラジルのビッグネーム。昔持ってたカエターノのCDを売ってしまった経験あり。 そんな私が何かに誘われるようにカエターノのライブへと行く。
そして寒気を覚え鳥肌が立ち涙がでそうになった。
中原仁さんのblogのとおりステージ上にはモニターアンプがなく、アンプラグドのショウを見ているかのような感じで素敵。 しかも天上は芸術劇場の天幕。不思議な落ち着き高揚感が同居する佇まい。そしてショウは始まった。
Brasil pandeiroのペドロ・サーのカッティングに手を叩き興奮。ルーラ・ガルヴァンのギターの流れる影のような美しいさ。そしてきた!Coracao Vagabund、Trilhos Urbanosでもうクラクラ。頭は天井に向かい円を描き、手が伸びていく感触を止められない。なんというカエターノの佇まい。腕の動きがすごくきれいだ。カエターノの声が喉をやさしく締め付け腰の敏感な辺りをなぞって逃げる。
カエターノの弾き語りはなんだったのか。この一時は多分忘れることができないだろう。眼を閉じる。カエターノの声が自分だけに聴こえるような錯覚。少しずつ意識が舞い漂うのを感じる。そして昔のとても苦しかった恋を思い出した。こんなところで。あの時のあの人の瞳を思い出すとは思わなかった。隣の席に気が付かれないようにそっと涙を拭く。
カエターノの声は苦しかった思い出を目の前に広げては破り広げてはまるめる。足と腰は喜々とリズム感じ、胸と喉があの時の気持ちを呼び覚ましては沈める。もうどうしていいのかわからかった。
Terraで幕を閉じた舞台。明るくなった客席に知人をちらほら見かけては挨拶をする。ロビーにでてはまた挨拶と感想などをお互い語り合う。いつもは楽しいコンサートあとの会話も上の空。自分で話しかけてもまったく気持ちがどっかいっちゃってる。早く外にでて空気を吸い込みたかった。
やっと外に出るとそこには街の明かりが瞬いている。芝生を照らすOasis21やTV塔、ビルの灯り。大きく手を広げて走り出し転んだ先で踊りだしたかった。空を見上げて深呼吸をする。
そうカエターノのよさを今日始めて知った。 そしてあの時の瞳がこの世で一番美しかったんだろうことを今にして思う。はじめて知りえた美に、失った美を重ね、今の恋を一瞬だけ遠ざける。
街の灯を背中に何もする気が起きずに帰途につく。 家につくとシャワーを浴びながら踊った。Manha de Carnavalを口ずさみながら。誰かを抱きしめたいが、それが誰なのか。 カエターノは教えてくれるかな?スピネッタはどう答えるかな?
さぁ。おやすみ。あの時の瞳。
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by sh2o | 2005-05-18 15:36 | Brasileira