Musica Argentina Brasileira All Frontiers


by sh2o

チュチョ・バルデス & ”エル・シガーラ”

チュチョ・バルデス &“エル・シガーラ”を愛知万博へと聴きにいく。
Diego "El Cigala" : voz
Chucho Baldes : piano
Yesly Heredia Figueroa : contrabajo
Jose Luis Quintana Fuertes "Changuito" : pailas
Sabu Suarez Escobar : percusion

初夏の夕暮れ。風は夜の湿気を帯びてやさしくざわめきを包む。それは高揚し震える気持ちを無理やり鎮めてるかのようでもある。会場のEXPOドームは超満員だ。キューバやフラメンコなど普段耳に馴染みでないだろう万博来場客、各パビリオンのスタッフたちという非常に国際色豊か?な客層。
そしてチュチョとバンドの登場。チュチョの指先から煌きという名の音が流れ出すのがわかる。超絶と神業とか無意味な言葉を使いたくない。これはチュチョに与えられた宝であり、それを聴くことのできること時はわたしの運命だと信じたい。それが音楽を愛し愛されることの意味だと思うから。
なんでああも中南米の男のスーツの着こなしはかっこいいんだろう。ベース奏者をみてそう思う。だらしなくダボダボなスーツに精悍な情熱がぎらぎらと輝く。ベースの音の切れがすごいね。あごを掠めるショートジャブみたいな感じ。頭はぐらつき下半身がリズムをとる。
パーカッションはいうまでもない。チャンギート!摂氏99℃沸点ぎりぎりと寸止めプレイ。あともう1発ショットすればイクのに~というとのろではぐらかす老練ぶりにジリジリと感覚は研ぎ澄まされ引き込まれる。
さぁ、エル・シガラの登場だ。え?フラメンコのシナトラ??どっちかっていうろフラメンコのブライアン・フェリーみたいだ。番手の荒い鑢のような声がチュチョの輝きにさらに磨きをかける。そこから生まれる新しい音楽の模様が会場の湿度に写るのがはっきりと見えた。今ここに異なる陽射しから生まれた響きが、エル・シガラに飲み干される赤ワインの中に結実している。
ベース、ティンバレス、カホンのソロ。カホンのソロが秀逸だ。何故あんな音が出るのか!あの箱の中に打楽器連隊がいるみたいだ。
チュチョとエル・シガラのデュエットのあまりにも不思議な世界。ジャンルとか民族とか時間だとかそんなことのすべてを織り込みながら現れる世界は、ただ美しさと猛々しさに身をさらす十字架。
しかし17日のカエターノから昨日のチュチョ・バルデス & ”エル・シガーラ”。よく思い起こすとBebo & CigalaのCD "Lagrimas Negras"にはカエターノも参加していたのだから、この二つのショーを続けて見ることができたのは何かしら運命的なものを感じる。
とくに最近思い悩んでいた。音楽とはなんなのか。音楽と私はなんなのか。何故自分は音楽を聴いて文章など書いているのか。こんなことしていてなにか意味があるのか?その答えがカエターノとチュチョ・バルデス & ”エル・シガーラ”にはあったように感じている。この日のライブの中で歌われた曲"Amar y Vivir"。正にそれだ。「音楽を愛し愛される」。ただそれだけのことだ。人を愛し愛される。そう。音楽が好き。いろいろな色の涙が体から心へとすり抜ける瞬間が好き。
ありがとう。素敵な音楽。
そしてこの二つを聴く機会をプレゼントしてくれた人。
これこそ本当の"Amar y Vivir"。自分の人生の中でとっても大事なものの二つ。
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by sh2o | 2005-05-22 12:51 | All Frontiers