Musica Argentina Brasileira All Frontiers


by sh2o

FLORENCIA RUIZ "CORRER"

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フロレンシア・ルイス3部作の最終章CORRER。そして言うまでも無く最高!!!
CENTRO、CUERPOそしてCORRERと頭文字Cで6文字であることにこだわり、7曲、9曲、11曲と収録曲数にも、秘めたこだわりをもって製作されたCORRER。製作前の準備から録音、ミックスダウンと逐次いろいろと連絡をとりあっていたので、それが手元にあるのだと思うと涙がでそうになってくる。。。

自主制作であることに今までと変わりないが、Charly Garcia、Fito Paez、Soda StereoやAndres Calamaroのプロデューサー・エンジニアも務めたMario Breuer、やFito PaezのアレンジャーCarlos Villavicencio、そしてPORNOISなど友人達手を借り、サウンドプロダクションとしても最上のものになっている。それより何よりもフロレンシアのアーティストとしての成長、自信が感じられるのが嬉しい。とくにフロレンシアの声が全然違うよ!今回は自室で殆どのパートを録音したことも関係あるだろう。リラックスしながら内面を深く温かく見つめながら。繊細な女性が夢想の箱庭の中にある回転木馬から降りて、全身に温かさを感じながら。目の前に広がる眩しい野原へと駆け出した。そんな気がする。

1曲目のCORRER。以前ライブでの音源を聴かせてもらった1st、2ndには無いテンポのいい曲。正に「Correr=駆ける」って感じ。Andresの鼓動のように小気味いいドラミングにのり、弾ける小石のようなアルペジオ。フロレンシアによるMartin Morronより譲り受けたKORG TRINITYの微風の中を舞っているような音響が効果抜群。三部作最終章冒頭に相応しい、これはいい曲~。録音はHernan Schnaider。

2曲目はHasta la primavera。Carlos VillavicencioとPORNOISのメンバーSebastian Landro(Sebas)が参加。この曲もフロレンシアのアルペジオによって導かれる2nd"CUERPO"の延長線上にある曲。バンドとのライブを通して作り上げたフ
ロレンシアの音風景にVillavicencioのアレンジが絶妙にマッチ。PORNOISのSebasの作る音空間"Grande Chapota"(フロレンシアとIgnacio Margiotta=Nachoのギターのサンプリング)の中、フロレン
シアの声がくっきりと浮かび上がる。

3曲目はフロレンシアのお気に入りMojandote、4曲目はMundoは、フロレンシアの弾き語り。これぞフロレンシアStyleという曲。

5曲目のNube。僕の大好きな曲。フロレンシアの管楽器のアレンジがこのアルバムの大きな聴き処の一つだ。去年の10月からフロレンシアはNube=雲の新しい色を見つけるためにホーンアレンジを試していた。これがその「色」かと思うと感動も新た。陽の光をいうっすらと映し、光の束をそっと手にかざす。その温かさがNube=雲。Sebasの音響効果も素晴らしい。BsAsの古い町並み、ゆるやかに流れるラプラタ、雨上がりの立ち並ぶアパート。雲を透す陽光が心地いい。
サックスのSergio Merceはエクスペリメンタル・ミュージックシーンで活躍するサックス、エレクトロニクス奏者だ。同じくアルゼンチン人のピアニストGabriel Paiukとヨーロッパのフェスティバルにも積極的に参加している。SergioはPORNOISのアルバムにもゲスト参加しており、またフロレンシアの弟Andresのアルバム"AMULETO"にも参加しており、このCORRERへの参加もそこからの流れだろう。

6曲目Migajas。フロレンシアのスパニッシュギターが聴ける。彼女のアコギの音色も素敵!だんだんと折り重なっていくギター(9 Guitarsらしい)の音色が、景色と感情と記憶の重なりを見ているよう。雑踏から静かな列車にのるように聴こえる効果音。

7曲目はIntemperie。ピアノとフロレンシアの声のみのデュオによる美しい小品。

8曲目Lugar。フルート、クラリネット、チェロ、ヴァイオリンとフロレンシアの声によるクラシカルな映像的アレンジ。それをPORNOISのメンバーLucas Totino Tedescoがミキシング。壮大というより街の公園を気持ちよく散歩しているという雰囲気。最後は未知の混沌に出会ったような驚きと喜び。もちろんMario BreuerやVillavicencioの助言もあっただろうが、フロレンシアのこれまで学んできた成果?かと思うと妙に嬉しい。

9曲目はフロレンシアとPORNOISのSebasとのデュオDesato。恐らくアルバム中最後に出来た曲だろう。フロレンシアの弾き語りをSebasがPORNOIS風にアレンジ・ミックスという感じだ。PORNOISっぽいPopなエレクトロ風味も聴けていいアクセントになっている。

そして日本のファンには嬉しい10曲目Vivir。フロレンシアの友人ミツコさんの日本語の語りが入っている。曲自体もフロレンシアとNachoの2本のギターによる演奏アレンジがとっても素敵だ。フロレンシアのヴォーカルも頬にキスされているかのような爽やかさ。さわやかな後書きが残されているような曲構成も素敵だ。

ラスト11曲目はNijin。Isabelasnachoがヴァイオリン(loop)で参加。フロレンシア曰く「NIjni talks about a child sensation」とは?Lugarでも演奏しているもう一人のヴァイオリン奏者Javier Cardenasは1st"CENTRO"にも参加している。消え入るヴァイオリンとヴォーカルが恥ずかしそうに走り去っていく少女の残す香りのよう。


雲間から射す光のような神秘的な立体感と輝き。CORRERにはそれを感じる。
ロシア文学の最後に書き表されているかのような、微かに揺れ動く希望。回転木馬で永遠に回り続けるような夢想。
それらは今、窓辺で微笑む一人の女性の鼓動として響き始めた。心地いい振動をわたしの胸にも。
手を取り合って駆けるその体温が風の中で温かい、CORRER。。。
一緒に駆け出して育む。そんな喜びがあふれるCORRER。

そしてありがとう。フロレンシア。あなたの音楽を愛しているよ。
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by sh2o | 2005-10-29 09:55 | Argentina