Musica Argentina Brasileira All Frontiers


by sh2o

Maria y Cosecha "ESENCIA" 

a0023718_2111143.jpg音楽は魔法だ。フロレンシアはそう語った。そして僕にもそう思わざるを得ない数少ない時が訪れることがある。フロレンシア、アンドレ・メーマリ、そしてこのアルバムを聴いたとき。

Maria de los Ángeles Ledesma y Cosecha de Agosto "ESENCIA"

そう感じさせる源さえもはっきりとわかる。ピアノのPablo Fraguela。この奥深く青白い煌びやかな音はいったいなんなのだろう。そして涙が出そうなところでそれを掬い取っていくアルゼンチン音楽の広大な陽気さ。Georgina Hassanのアルバムで出会ったPabloのピアノ。目立たず、でもはっきりと心に足跡を残すその音は、雨上がりの道にのこる空からの光の軌跡、夕空にしがみつく陽光の残り香。

5曲目まではPabloのピアノを、止んでしまった雨の行方、暗がりに落ちた空の行方を追うように聴き入る。そして夢は突然覚める。そうこのアルバムは6曲目でなにからもその心を剥がして目を覚まさせる。Georgina Hassanの曲"Memoria de rio"。血液から出てくるような声はあまり好きじゃない(かといってそんな血の流れが聴こえないと不満なのだが)。フォルクローレの歌い手たちや、このMaría de los Angeles Ledesmaもそういうタイプの声だ。でもこの曲でのMariaの声はブラジルの素晴らしい歌手Momoca Salmasoを想起させる。アコーディオンやパーカッションの響きなどOrquestra Popular de Camara。その後もMariaの川面を流れる風のような声は髪の毛をかきあげるように心の中でそよぐ。

パーカッションのMatías Furióの緩急強弱の見事な演奏。森の中の音、雑踏の音が聴こえる。隙間から滲んでくるようなRicardo Cánepaのコントラバスのアルコ。それらを束ねてはゆっくりと解いていくPedro Furióのギター。

惹きつけられる本、余韻すら手放さない音楽。それらに出会ったときは危険だ。その時、何かが現われ変わり消え忘れ始まる時だから。

このアルバムは何を残すだろうか。
それが何であろうと、それはきっと永遠に消えることは無く、心の一部として緩やかに留まる。
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by sh2o | 2006-10-03 21:13 | Argentina