Musica Argentina Brasileira All Frontiers


by sh2o

Monica Salmaso "Noites De Gala, Samba Na Rua"

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ブラジルの「良心」Mônica Salmasoの通算5作目のアルバム"Noites De Gala, Samba Na Rua"がついにというかやっとお目見え。バックの演奏陣にPau Brasilを迎えてのChico Buarque集だ!Chico Buarqueというとそのインテリジェントなイメージから「ちょっと後でいいかな…」と引いてしまう向きの人も多いかと思うが(かく言う自分も)、そんな人にはぴったりのアルバムだ!

レーベルをBiscoito Finoに移動した前作"iaia "が個人的にはイマイチしっくりこなかった。Paulo Bellinatiのギターを筆頭にサンパウロ、リオのTOPミュージシャン達の演奏も引っ掛かってくるものは少なく、肝心のMônicaの声もBiscoito Finoの作品に時折感じられる「品行方正優等生」的なオブラートに包みこまれてしまい残念な印象だった。本作もBiscoito Finoからのリリースだったので実はあまり期待していなかった…。

ところが!これが大きな間違い。まずはバックの演奏陣が最高!「Pau Brasil!」と叫んでみても、メンバーであるPaulo BellinatiRodolfo StroeterTeco Cardosoも前作にもそれ以前の作品にも参加している。ところがこれがやはりパーマネントなメンバーというか、数十年の長きに渡って積み上げてきた成果なのだろう。お互い意識することなく、まるで星雲のように煌きを帯びた巨大でありながら密度の濃い空間を築き上げている。そんな空間を自在に泳ぐMônicaの声。いやいや、そうではなくPau Brasilという星雲も、彼女の息吹という宇宙の中で生じたものだ。これこそ待ち望んでいたMônica Salmasoの世界なのだ。

Mônica変わったな~、というか一皮剥けた。やはり元新聞記者だけあってChico Buarqueというインテリジェンスと相性がよかったのだろうか。今までも1曲1曲に於いて、その温かい美声に包まれうっとりすることはあったが、本作ではアルバム1枚を聴き終えてその世界観に圧倒される思いだ。至上の名曲"Beatriz"にはもう涙涙。

クレジットをよく見るとマスタリングにJan Erik Kongshaugの名前がある。そう、ECMレーベルの諸作品で名前の知れ渡っているノルウェーはオスロにあるRainobow Studioの主だ。もともとPau Brasilは、自らのレーベルであったPau Brasilレーベルの作品(北欧のミュージシャン達との共演盤多数)の録音をRainbow Studioでよく行っており、Jan Erik Kongshaugとも旧知の仲だ。正直Pau Brasilレーベル諸作品も「ブラジル×北欧」という意外性はあっても、内在する空気がうまく溶け合っていない印象だった。その違和感がこのMônica Salmasoのアルバムですべて払拭され、Pau BrasilJan Erik Kongshaugの当初の意図がMônica Salmasoという因子を得てここに完成している。例えて言うならブラジルの密林の空気と、北欧の森林の空気とが、Mônicaの息吹の中で透明な一つになったような印象だ。

Mônica SolmasoとChico Buarqueという知性美の融合
そして、
20年近くにわたって試みられたブラジル密林と北欧森林との融合美
それらを同時に味わうことの出来る、これぞ「 名盤 」。
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by sh2o | 2007-07-27 11:58 | Brasileira