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Musica Argentina Brasileira All Frontiers


by sh2o

カテゴリ:倉地久美夫( 7 )

倉地久美夫@GOK SOUND

ジスモンチ前夜、
倉地久美夫のライブを聴きにいける幸運。 素晴らしい 。

場所は吉祥寺のGOK SOUND。 吉祥寺自体久しぶりで、GOKも初めての場所。古ぼけたビルのブロック塀際の小道。前を歩く黒衣の女性の後をストーカー気分で続き入り、地下へ進入。

はて、普段は練習スタジオ会場だろう会場の後ろにてビールを飲んでいると、倉地さんがふらりと登場、煙草をぷかり。怪訝な表情の倉地さんと眼が合いご挨拶。そして記念撮影。嬉しゅうございますいい人だ~倉地さん☆

そうこうしているとSHOJIMA(G Vo)+弘中聡(Dr)の演奏が始まる。倉地さんがポツリと「こういうタイプのドラマー好きなんですよ」と言う。なるほどそんな感じだ。なかなか勢いと旋律を感じさせるドラマーでいい感じだ。この人はいいね。SHOJIMA自体はピンとこず。ドラマーの演奏にエコーのようにかぶさるアコギが心地よかったり…

お次は日比谷カタン
これは面白かった!いいいね。フレンチプログレ弾き語りって感じかな~。もっと歌詞の内容が明瞭に伝わるともっと気持ちいいんじゃないのかな。でもすごくいい!ファンになった!もっと聴きたい

そしてそして、会場ぎっしりになった頃、倉地久美夫の登場!
倉地久美夫石橋英子(P&Flute)+山本達久(Dr)
この3人でのトリオライブは初めてとの事。
ドラムの山本とは前日青山でライブをやっていたはずだ。
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演目は下記の通り。
観月祭
ゆっくりあるく
快楽マン
ベストカメラ
鉄塔
インスト(題名不明)
スーパーちとせ
30000粒ダム

「観月祭」。やっぱりいい曲だが、今日はどうもノリが悪い。
ステージ真横の出入り口の客の出入りが集中を欠く。
舞台上に草花の一輪、土の一掴みであればもっとちがったか。
「ゆっくりあるく」。妙にあっさり。
「快楽マン」。この曲は大好きだ。石橋のキーボードが効果的というかCDのアレンジを思い起こさせる。このあたりから気分もノリなじめた!!
「ベストカメラ」。CDヴァージョンではなく、ライブヴァージョン。こっちの方が断然いい!
「鉄塔」。石橋がフルートでSaxの旋律を奏でる。いい。これはいい。石橋は座ってフルートを吹いていたが、立ち上がって倉地と絡んでも面白かったのではないか?フルートの効果が実によかっただけに、もっともっとと欲張りになってしまう。
「インスト」。これはなかなか聴き応え十分!
「スーパーちとせ」。やっぱりいいね。ライブ映えするは、この曲は。山本の叩きすぎドラムには若干閉口ぎみだったのだが、この曲での演奏はちょうどいい感じだ。ラストは「30000粒ダム」。この曲大大好き大阪でのライブ、この曲で倉地にKOされた。また聴けて嬉しい!やっぱりいいな~。間奏あたりからも~いたたまれないほどヒートアップ。丁度いい感じになってきたのにこの曲で終わりなんてもったいなかった。石橋英子の参加も若干不完全燃焼。もっと倉地と石橋との派手な立ち回りが見たかった!
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これで倉地久美夫のライブは3回目なのだが、思うところあり。
今回の山本達久や長いつきあいの外山明など。この手の複雑骨折整体師系のドラマーは倉地の好みなのかもしれないが、耳に障るというか気になりすぎる部分も多い。ドラマーというより、もっともっと空間演出を多用したパーカッション奏者の方がいいんじゃないのかなと常々思うが、その辺はどうなのだろう?例えばヤヒロトモヒロなんてどうなんだろう。すごく倉地久美夫と合うように思うのだが…
にしても倉地さん歌詞忘れっぽいのかな?あのマイクに突き刺している(今回はテープ留め。でもすぐ落ちていた…笑)紙は歌詞カードだったのね。。。

GeGeGeGe Quartetは、この手は十分と思い会場をでる。
すると倉地さんにばったり。
「遠方からお越し」とのことで出口まで見送っていただく。
感激…のあまりうまく御礼が言えない。
とっても嬉しかったです倉地さん!!!

あ~楽しかった。
それにしてもかわいい人きれいな人、お客さんに多かったな☆
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by sh2o | 2007-08-20 10:22 | 倉地久美夫
7月6日(金) 倉地久美夫@渋谷O-nest
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待ちに待った倉地久美夫の新譜『スーパーちとせ』のレコ発ライブ!
松涛温泉を横目にラブホテル街の坂を上ると、浴衣姿の娘達の姿。彼女達は倉地ファンじゃないよね???って、そりゃそうだ。隣のWESTでの七夕ライブのお客さん達。こっそり浴衣の間を通り抜けてエレベーターで6階へと上がる。こちらの入りはまだまだだ。

入場早々『スーパーちとせ』をGET!見慣れたイラストのドアップジャケット。くぅ~かっこいいぜ!とはいってもジャケ買いされる可能性は少ないか…

ステージに倉地久美夫がアコギを片手に飄々と姿を見せる。チューニング、マイクテスト。なんか変な感じ。でもってそのままなし崩しに照明が落とされてライブが始まった…
東京来てから買ったというアコギの。試奏に熱が入りすぎて思わずボディーを叩いてしまったから買ったという…。そして始まる演奏は新譜より「エチュード」。倉地の足裁きのように酔いどれ草が階段を行ったり着ているかのようなフレーズ。基本手癖なのかもしれないが、裏山の神社に詣でているようなお百度参りのような気分で徐々に爽快感が増していく。2曲目は「絵馬」。これは弾き語り。

そしてメンバー紹介。Bassは稲田誠。Drumsは外山明。稲田のベースは既にセッティングされており、ベースというよりチェロのようだ。稲田がヘルニアだ云々のMCり、「MCる」なる倉地造語(大阪でも聞いた!あれがお初?)で倉地空間に誘い込んだら始まる演奏は「太陽のお正月」。稲田の演奏がかなりアグレッシブだ。まるで網戸の隙間から叩きつける突風のようでちょっとした驚き。で、お次は名曲「観月祭」「サランラップ」と涎だらだら。いいね~「観月祭」。もう今はなくなってしまった大分のお祭りらしい。「サランラップ」での三人の演奏はかなり刺激的。倉地と外山の微妙な対決?が笑いをかみ締める轡のように厳しく硬い。

照明によってステージ後方の壁にできる三人の影が蠢いている様子は、まるで倉地のイラストのような白昼夢が沸いて出てきたかのようだ。それはまた子供のころ見た悪夢が追っかけてきたかのような懐かしい闇に包まれているような気がした。そしてまた度々見られる倉地の一本足立ち姿の美しいことこれはジェスロ・タル、王貞治と並ぶ世界三大一本足姿の美しさだ

「味噌がいっぱい」を演奏するはずが、倉地の様子がおかしい…どうやらチューニング方法を忘れてしまった?ようで「飛ばします」二部で演奏することに。しょうがなく「8mm監督」へ。そして一部は終了。

正直一部はどうも乗り切れない印象。三人の演奏がイマイチぴったり嵌っていないという感じだ。倉地の緊張に飲み込まれているのか、はたまたこの三人での演奏が少ないからか。しかし抱えた若干の不安は、ステージ上に並べられた倉地が新譜『スーパーちとせ』のために書いたイラスト(自画像がほとんど!)とスーパーちとせの盗撮写真で吹き飛ぶ。『スーパーちとせ』購入者にプレゼントとのことだが、どうなることやら…でもどれか欲しい

さてさて倉地がアコギ、エレキと水の入ったグラスを抱えてステージに登場。きっと「いへいへ自分で持ってきます~」とか何とか言ったに違いない…そしてまた何事も無かったかのようにイキナリ始まる。レコ発という柄ではないが新譜からの曲を中心に、というMCり。そして始まるは「霧の嬉野」。ステージで完全再現は不可とのことで、ギターソロアレンジでの演奏だ。これがすごくよかった。「霧」というより乳白色に包まれる「霞」という感触を覚えた。何も見えないのではなく何かが見えなく、どこから聴こえてくるかも分からない音が広がっていく。覚めない夢が倉地の影と一緒に滲み出てきたようだ。

次は『スーパーちとせ』のマスタリングをした宇波拓を招いてのタイトル曲「スーパーちとせ」。まずはトーク「マスタリングでは何が一番苦労しましたか?」との倉地の質問に「バイトを辞めたことですね」との宇波の切り替えし。「予想外の角度」からの回答に倉地むふふ。。。さてこの「スーパーちとせ」の演奏が素晴らしくよかった!二人のギター演奏が静かに始まり、倉地がスーパーちとせを語りだす。恐らくスーパーちとせのお客さん達の会話をモチーフにしたと思われるシーンに突入すると倉地ワールドは一気に加速する。倉地の「アンパン」フレーズにテープの効果音がオーバーラップしだすと、スーパーちとせがフィールド魔法として召喚されたかのような錯覚幻視幻聴。これはかなりヤ・バ・イ

倉地、稲田、外山によるトリオの演奏に戻り「鉄塔」 、「あつい日本」「鉄塔」はやはりいい曲だな。菊地成孔による泣きのサックス部分がどうなるか興味津々だったが、そんな疑問はどこかに消し飛んでしまっていた。得意のロシア民謡?「ステンカラージンの夢」。そして古武道のゆっくりした動き、歩き方を曲にしたという「ゆっくり歩く」 。そしてそして一部で失敗?した「味噌がいっぱい」!なのだが…結局解決したはずの問題が再発し「ごめんなさい」…あ~これは聴きたかったな

気を取り直しアコギに持ち帰る倉地。シールド三番。演奏は再び新譜から「アサヒ!」。この演奏がまたすごかった。スパニッシュ風カッティングを盛り込みながら豪雨のように叩きつけられる倉地のギター。外山の中腰ドラミングは倒木をさらになぎ倒して進んでいく一迅の風。稲田のベースはゴニョゴニョゴリゴリと、はだける裾をさらに押し広げようとする荒れる神社の狛犬の妄想か。これは凄まじい暴風雨だったよ!

これで第二部も終了のはずが。イラスト抽選方法のジャンケンを論じているうちに、これまたなし崩し的にアンコールへと。演奏するは「あなたの風」。さぁスタート!というところで倉地のギターにシールドが差し込まれていないいや~どこまでも倉知ワールド。何かに追いかけられるような演奏。そう自分達の影に追いかけ追い抜にかれ追い抜いていくかのような激烈な演奏だ。稲田の呻きの様な声に呼応する倉地と外山の駆け引き。そして倉知のゆっくりとした足裁きに比例するかのような美しい右手の動きから繰り出される輝く音。

あぁ
美しくもあり醜くもあり
欲して止まない あの時の白昼夢の欠片

あぁ
物寂しい 物足りない
見つけてしまった あの時の白昼夢の風景

ライブ終了後、イラスト抽選ジャンケン大会。
イラスト一枚GETできました
ぎゃおん嬉しいうっふふ~ん

ありがとうございました
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by sh2o | 2007-07-11 11:39 | 倉地久美夫

倉地久美夫 ライブ&祭

読売新聞九州版 「表現者の現場」(2006年6月5日)
2006年5月13日に行われたライブ内容はもとより、倉地久美夫のプロフィールについて詳しく知ることができる記事内容で、とても参考になった。記事最後の倉地の言葉「異常なものを~」には、目が覚まされる思いがした。倉地久美夫の世界を本人によって明快に言い表した言葉であり、また自分が何か書く上において常に覚えておきたい言葉ともなった。


Baku's Dream
大分から「こころとからだに良い音楽」を世界へ向けて発信しているかとうけんごさんのブログ。 2007年4月29日に行われた『倉地久美夫祭』!の概要を知ることができます!
あ~なんて素晴らしい祭!そのころ倉地久美夫のことを知っていたら絶対駆けつけたのにな~残念…けんごさん、是非また企画してください!
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by sh2o | 2007-05-17 11:39 | 倉地久美夫
a0023718_17415350.jpg倉地久美夫の1999年のアルバム。バンド演奏ではなく倉地一人による多重録音作品。これまで多重録音によるカセットテープ作品がで多数残してきたようだが、倉地久美夫の世界というものがここまで色彩豊かなジオラマのように完成されたものなのかと、正直驚いた。
外山明という「変態」ドラマーでなく倉地自身によるリズムの為か、音の触りが普通にかっこいいという大きな罠が待ち構えている。そのかっこよさは同じ九州出身である井上陽水をすぐに想起させるが、個人的にはなんとなくアルゼンチンROCKの帝王SpinettaFito Paezに似たものを感じた。とくにSpinettaとは、似通ったメロディーを「それを待ってました!」と感じさせる中毒禁断症状と、どこまで切っても本人でしかないという金太郎飴的な幻惑とに同じ臭いを覚える。それは三日はいたパンツの饐えた臭いではなく、薄汚れ破れたシャツを"伊達"と思わせる漢(おとこ)の臭いだ。
1曲目は「ファミリーワルツ」。これは"ワルツ"なのか?だとするなら、まるで階段でワルツを踊っているようだ。時折足を踏み外しては、さすりながら再び踊り直おし、いつしか倉地の裸足が階段状のキーボードの上で足踏みしているような想像。2曲目「観月祭」~3曲目「快楽マン」の流れは絶品。ここにSpinettaを思い起こさせる何かがある! 「観月祭」での「ここには何もないぞ」のフレーズはまさに倉地メロディーの代表だ。そういえば倉地初体験はこの曲だったんだっけ…。 「快楽マン」は是非ライブで聴いてみたい曲だ。サビの部分での蠢くリズムと囁くボーカルがとっても印象的。
ジャーマンロックな「富士さんの焚き火」にニヤリとした後、静寂と喧騒の合間の微妙な沈黙「朝6時」を通り過ぎ、「サランラップ」で気合充填。それで、「缶詰」にゆら~り空中浮遊の真似事をする。
「目隠しビーム」は"ラテン"なのか?と若干微妙。ちょっと薄味ホルモンかしらん。「エイ」「日陰まわり」となにやら不気味に落ち着いた終息を迎えるがそれはウソっぱち。
アルバムを聴き終えると、禁断症状を迎える前の不気味な凪が身の回りを包んでいる。それは倉地本人によるアルバムジャケットのイラストの光景にも似た空気。倉地久美夫の世界の登場人物の一人になってしまったことに気づいて笑うか、唖然と呟くか。どちらにしたって裸足か裸になって聴きなおしてみる事に変わりはない。
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by sh2o | 2007-05-16 19:31 | 倉地久美夫
a0023718_19124967.jpgゴールデンウィークに大阪で、短い時間ではあったが倉地久美夫のソロライブを見た身にあっては、このライブ盤『太陽のお正月』はその日の時間的な物足りなさを消化する続編を聴いている気分にさせてくれた。1995年の録音であるというすでに約12年もの歳月がわかっていてもなお、その感覚は変わらない。それはすでに当時から倉地久美夫の世界が確固としてあったことの証であるだろうし、何より倉地久美夫の世界をもっと欲している渇きの証でもある。

ソロでの演奏と、菊地成孔外山明とのトリオでの演奏を収録。菊地、外山との録音は『うわさのバッファロー』『I heard the ground sing』でも聴くことができ、三人の演奏の違い、呼吸を聴き比べるのも面白いだろうが、まずは倉地にどっぷり嵌りたい。

「二刀流」
「8ミリ監督」倉地のソロ演奏でどっぷり満足。まるでスクリーントーンを使わずにペンのみで背景を描いていくような緻密でいて時に空白も厭わない抽象的なギターワークに惚れ惚れする。それと対比するような朴訥としたMCにほわ~っと微笑をうかべてしまうのが、蕎麦屋で読む四コマ漫画週刊誌のような味わいで絶妙。それは彼の声、言葉の世界についても同じくいえることだ。まぁそれは詩のボクシングを実際に見た人ならすでに承知のことだろう。

倉地の詩の世界は、おそらく実生活の断片を記憶の襞の中で回想するが故の時間と空間の二重写しかまたは絞り模様。その世界は所謂私小説であっても、古井由吉のような針の穴から見る靄がかった景色のような居心地の悪さはない。やはり漫画やフィルムのような明快な景色が広がっているのが倉地の世界の特徴だろうか。彼の詩の世界の感じ方は人それぞれだろうが、目の前に広がる景色はほぼ一定ではないだろうか。

あ~倉地久美夫を「誰?なんだろう??」と思い、釘付けになったギターそして飲み込まれるように飛び出す彼の声を咀嚼した、いや咀嚼された瞬間を忘れない。それを思い起こさせてくれる素晴らしいライブ盤。
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by sh2o | 2007-05-15 18:59 | 倉地久美夫
a0023718_12221312.jpg倉地久美夫 
『うわさのバッファロー』美音堂

倉地久美夫の1996年のアルバム『rumored buffalo』のリマスター盤。

倉地久美夫ソロライブ 『I heard the ground sing』 『うわさのバッファロー』と突進中。もう尋常じゃない嵌まり込みようは、久しぶりの熱狂と魔境の冒険王気分。待ちきれん!とばかりに届いたこのアルバム『うわさのバッファロー』。なのに一聴した後は、あまりピンとこなかった。徹夜明けで方向と性能が消化不良なチェンバーロックを聴いた時のような気まずい感触~と思っていたのだが…大間違いだった!

翌日深夜、ヘッドホンを取り出して大音量で聴きなおす。目が覚めた。この深い味わいは、まるで三日目のパンツのような匂い。三日目のパンツは臭い、確かに。でもその臭さは二度三度と近づけたくなる禁断一歩手前の生暖かい不思議関係。

面子は『I heard the ground sing』と同じ。倉地は唄とギター、菊地成孔がサックス、ドラムスには外山明。一番印象が違うのが独特の詩の内容・世界だが、それは時の流れそのときの気分によって当然のことだろう。倉地の歌い方が『I heard the ground sing』と違う。『I heard the ground sing』が非常に素直に歌っているように聴こえるのに対して、この『うわさのバッファロー』ではわざとくぐもった、口ごもったような歌い方。演歌以前の歌手の声のようにも聴こえる、ちょっと古ぼけた音源から聴こえて来るようなざわつきとざらつきのある音だ。
そのざわつきとざらつきが最初はしっくりこなかったのだろう。今はそれと同じ振幅で怯える、眠る、笑う、震える、肌こする。なんだ消化不良だったのは自分の臍下三寸だった。ちょっと控えめに後ろ方で歌っているだけなんだ。ちゃんと見つめてこっちを向かせないといけないんだね。OKです!

菊地外山も自由奔放。『I heard the ground sing』では倉地菊地のダブルリードギター!という感じで倉地のギターと菊地のサックスとのコンビネーションに惚れ惚れ。しかし本作では菊地は鳴かずに自由に呟いている印象。そう菊地のサックスは、倉地のギターではなく声に対して吹いているんだ。そこはやっぱり発売当初は倉知久美夫名義ではなく、倉地・菊地・外山の三人の連名アルバムだったからだろうか。外山もポケットの中で爆竹を鳴らして歩いているかのような演奏。あっち行ってはばら撒き、こっち行っては暴発する。

「しまうまタクシー」「うわさのバッファロー」は是非ライブで聴いてみたい曲だ。鬼火のような目玉に入ってくる熱い塊を感じる。とくに「うわさのバッファロー」でのノイズから漏れ聴こえる係員の説明は、怪しいラジオを聴いているようで出色。「鉄塔」菊地のサックスが印象的。鉄塔を囲む金網をゆすり叫んでいるような音だ。怒りを飲み込む嗚咽がふいに漏らす本音。う~んこれもライブで聴きたい!前置きなしで何気に演奏されたら涙流しそう。この曲が一番好きかな…

『I heard the ground sing』と比較してしまうと、試行錯誤中というかまだまだ過渡期なのかな?という印象を持ってしまうが、それは全く必要のない断面。真正面から差し込んでしまえばいい。そうすればこのアルバムは常に何かを語りかけてくれる一枚になる。

薄っぺらいが中身の濃い岩波文庫の短編小説集みたいな作品。
もちろん分類は「その他」ではなく、「倉地久美夫」以外にはありません。
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by sh2o | 2007-05-10 19:00 | 倉地久美夫
a0023718_15135716.jpg倉地久美夫 
『I heard the ground sing』 (美音堂

全く予期せぬ空間の扉が開く。でもそこは何処か居心地がいい。

あの日あの曲がり角に置き忘れた妄想。田舎の布団に置き去りにした夢。諧謔 、奇矯、屈折、気配、滑稽。でもそんな懐かしさだけではかび臭くてしょうがない。それは山中の不法投棄されたゴミを宝探し気分であさっているだけみたいなもの。
『I heard the ground sing』で聴くことのできる懐かしさは、記憶の襞に放り投げてあった妄想時計のゼンマイを巻き上げる。巻き上げられていくゼンマイはいつしかメビウスの輪になり、突然を予期していたかのように時を告げる。

「集え能古の島」での菊地成孔の燻るサックスと外山明のチリチリとしたシンバルが目覚ましの音のように、あの日見ていた世界にようやく着いたことを知らせる。 そう、その世界の音が今ここにあったんだ。それはすごく匂いのする音。
湿った布団から匂う、黴と体液の匂い。それはチェンバーロック、ガロ、サブカルチャーだったり。フォークロックだったり大人ぶって理解したブルーズだったり。 涙と鼻水で折れてしまいそうな自分を隠している匂い。それは自分の中で隠してしまいたい恥の部分だったり。
友人たちについた嘘、両親への裏切り、想い人への戸惑いと疑いだったり。
その頃は逃げ出したくてしょうがなかった。いや、いっそのことそこに埋もれてしまって何も感じたくなかった。そう、忘れていたのではなく、埋もれてしまって見えなくなっていただけ。
倉地のギターが傾いた脳みその土壁をボロボロと剥がしていく。
不可思議な詩、強靭な律動、吸い込む息が温かく通っていく声。
突込どころはたくさんあるが、それらを寄せ付けないくっきりとした倉地久美夫の音世界
ライブでも聴いた「30,000,000粒ダム」 。その中の歌詞「どれどれ見せてみそ」という言葉にそもそも導かれたのかもしれない。

倉地の声は大地によく響く。それが曲がり角の方向。
あの日、梅田シャングリラで、僕はようやく曲がり角を曲がった。
そして倉地久美夫の新作が七月にでるという。
曲がり角の先にある風景が今から楽しみだ。
それが、どのように見えるかはわからない。でもまずはそこに行ってみたい。
きっと台地の縁から眺める町の風が心地いいはず。
その時は自分に問う。今の気持ちを「見せてみそ」って。
でも何が釣れたのかはわからないな。未だ吊るされているのは自分だから。


久しぶりの更新。何も聴いていなかったわけではないが、妄想が浮かんでこなかった。
それが5/3@大阪の梅田シャングリラで見た見汐麻衣ふちがみとふなと
そしてこの倉地久美夫とそしてそして大好きなEttとのライブを見ることによって何かがが呼び覚まされたような気がする。
Ummmmmm!!!
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by sh2o | 2007-05-06 21:09 | 倉地久美夫