Musica Argentina Brasileira All Frontiers


by sh2o

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Cecilia Zabala "AGUARIBAY"

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Cecilia Zabalaを初めて知ったのは、CeciliaとクラリネットのEmiio Albarezとのデュオalvarezabalaのアルバム"Halo de luz"だった。そこでもCeciliaはギターとともに魅力的な歌声を披露していたが、ソロデビュー作となる本作"AGUARIBAY"

Nora Sarmoriaを最初に聴いたときに感じたような浮遊感?いいやそれだけじゃないMarta Gomezのような女"性"を感じさせる歌声。もうこの1曲目"Maravilla"だけでまずはメロメロ。そうMarta Gomezのようにたおやかな歌声。そうそうCecilia一人でQuique SinesiMarta Gomezのデュオを歌い演奏している?いや今思いついた!InteroceanicoでのAlejandra Ortizの透明に揺れ翔る感覚ににそっくりだ!!!

alavarezabalaでは自作曲のみだったが、本作ではCeciliaの自作ほか、クチ・レギザモン、ユパンキそしてAca Seca TrioJuan Quinteroの曲も1曲とりあげている。
1曲目の"Maravilla"から2曲目のレギザモンの"Si llega a ser tucumana"、そしてSilvia IriondoQuique Sinesi参加のアルバムタイトル曲"Aguaribay"、4曲目はJuan Quinteroによる"A Pique"。この流れで完璧にノックアウト!"Aguaribay"でのCeciliaSilvia Iriondoのデュエットは母娘のようで、それを無言で語り継ぐかのようなQuique Sinesiのギターソロの美しさと。それは蝋燭の灯ったテーブルに並ぶ温かなスープのような夢心地。うっとり…。この"Aguaribay"はボーナストラックとしてヴィデオ映像も入っているが、そちらはCeciliaの弾き語りヴァージョン。これが最高。。一本の木になったようなだ。泊まり啄ばみ飛び立つ鳥の鳴き声、光と風の物語、そしてきっと鳥に運ばれるのだろう遠く旅立つ種の夢。泣いちゃった。この曲はきっとこれからいろんな人に歌い継がれていくのだろう、そんな予感を感じさせる名曲。

Ceciliaの声とギターの両者のバランスがいい。歌いこまず弾きこまず、それでいてどちらもサラリと流れていくわけでもない。Juan Faluも参加したJulio Espinozaの曲"Vidala para mi sombra"から、次の自作ギター曲の"Tango~incertidumbre"、そしてユパンキの"Los ejes de mi carreta"とこの辺りは、CeciliaGuitarras del Mundoにも出場したさすがの腕前を堪能できる。そして11曲目の"Hermano"には、彼女の才能の奥深さ、果てしなさが詰まっている。なんという叙情、なんという愛情。 なんといったらいいのかアルバム1枚の作品として非常に完成度が高い。それ程のプロダクションもCecilia一人が行っているのだから驚きだ。

つくられたものではない、あるべくしてこの世で触れることのできる感動。
そして、それに今、出会うことのできた喜び。

こんな音楽があるんだと、個人的体験抜きに涙の出た1枚。
「名盤」なんて言葉もいらない。
ただ一生聴き続けるだろう、
"AGUARIBAY"
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by sh2o | 2007-07-30 17:59 | Argentina
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ブラジルの「良心」Mônica Salmasoの通算5作目のアルバム"Noites De Gala, Samba Na Rua"がついにというかやっとお目見え。バックの演奏陣にPau Brasilを迎えてのChico Buarque集だ!Chico Buarqueというとそのインテリジェントなイメージから「ちょっと後でいいかな…」と引いてしまう向きの人も多いかと思うが(かく言う自分も)、そんな人にはぴったりのアルバムだ!

レーベルをBiscoito Finoに移動した前作"iaia "が個人的にはイマイチしっくりこなかった。Paulo Bellinatiのギターを筆頭にサンパウロ、リオのTOPミュージシャン達の演奏も引っ掛かってくるものは少なく、肝心のMônicaの声もBiscoito Finoの作品に時折感じられる「品行方正優等生」的なオブラートに包みこまれてしまい残念な印象だった。本作もBiscoito Finoからのリリースだったので実はあまり期待していなかった…。

ところが!これが大きな間違い。まずはバックの演奏陣が最高!「Pau Brasil!」と叫んでみても、メンバーであるPaulo BellinatiRodolfo StroeterTeco Cardosoも前作にもそれ以前の作品にも参加している。ところがこれがやはりパーマネントなメンバーというか、数十年の長きに渡って積み上げてきた成果なのだろう。お互い意識することなく、まるで星雲のように煌きを帯びた巨大でありながら密度の濃い空間を築き上げている。そんな空間を自在に泳ぐMônicaの声。いやいや、そうではなくPau Brasilという星雲も、彼女の息吹という宇宙の中で生じたものだ。これこそ待ち望んでいたMônica Salmasoの世界なのだ。

Mônica変わったな~、というか一皮剥けた。やはり元新聞記者だけあってChico Buarqueというインテリジェンスと相性がよかったのだろうか。今までも1曲1曲に於いて、その温かい美声に包まれうっとりすることはあったが、本作ではアルバム1枚を聴き終えてその世界観に圧倒される思いだ。至上の名曲"Beatriz"にはもう涙涙。

クレジットをよく見るとマスタリングにJan Erik Kongshaugの名前がある。そう、ECMレーベルの諸作品で名前の知れ渡っているノルウェーはオスロにあるRainobow Studioの主だ。もともとPau Brasilは、自らのレーベルであったPau Brasilレーベルの作品(北欧のミュージシャン達との共演盤多数)の録音をRainbow Studioでよく行っており、Jan Erik Kongshaugとも旧知の仲だ。正直Pau Brasilレーベル諸作品も「ブラジル×北欧」という意外性はあっても、内在する空気がうまく溶け合っていない印象だった。その違和感がこのMônica Salmasoのアルバムですべて払拭され、Pau BrasilJan Erik Kongshaugの当初の意図がMônica Salmasoという因子を得てここに完成している。例えて言うならブラジルの密林の空気と、北欧の森林の空気とが、Mônicaの息吹の中で透明な一つになったような印象だ。

Mônica SolmasoとChico Buarqueという知性美の融合
そして、
20年近くにわたって試みられたブラジル密林と北欧森林との融合美
それらを同時に味わうことの出来る、これぞ「 名盤 」。
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by sh2o | 2007-07-27 11:58 | Brasileira

Fabiana Passoni "É Minha Vez"

a0023718_1051473.jpgMySpaceで知ったシンガーFabiana Passoniの1stアルバム"É Minha Vez"
Fabianaはミナス出身。その後NYCへと渡り、現在はLAで活動している。このアルバムにもLA在住のブラジル人ミュージシャンが参加しており、数年前に来日したKleber Jorgeの名前も。
サウンドの方もKleber JorgeのようなブラジリアンAOR的な出来。Fabianaの歌はものすごく美味いとか声がきれいというものではなく、どちらかというと特徴が無い。バックの演奏も超絶ノリノリということもなく、でしゃばることもなくという感じ。それがかえっていい感じに聴こえてしまう。何かを期待するわけでも物欲しいわけでもなく、自然と耳に入ってくる感じだ。その感覚は3曲目の"Darlin'"で顕著。ビーチボーイズのカバーでFabianaは英語で歌っている。そのネイティブでない英語がAORサウンドと相まって、すごく山下達郎的に聴こえてしまう。それが「え~」ではなく「へ~っ」すんなり受け止めてしまうのは僕が日本人だからかな?
"Change the world"のカバー"Mudar O Mundo"もなかなかいい。エレキギター(Kleber Jorgeではなくアメリカ人Dirk Freymuth)がToninho Hortaのようでミナスヴァージョンって雰囲気の仕上がり。スタンダードサンバ?"Tarde Em Itapoã"も完成度が高い。
実に掘り出し物。Cafeで、アウトドアで、自宅で。どのシチュエーションでもピッタリ。
お勧め☆美人だし…☆

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by sh2o | 2007-07-26 00:30 | Brasileira

muza "cambio de estacion"

a0023718_15211112.jpgチリの耽美エレクトロポップMuza(=Sol Aravena)の2ndアルバム。
心の隙間からふと涙してしまった…
Muzaはチリはパタゴニア方面Coyhaique出身。それだけでも何か「そそる」ものがある。
サウンド的にはイギリスあたりのエレクトロ・ポップな感じだ。コクトー・ツインズやらヴァージニア・アシュトレイあたりをお好みの向きにはばっちり。そういうブリティッシュっていう意味合いではマイナーpンプバンドSolsticeなんかも思い出した。個人的にはDip in the poolをすぐに思い出した(甲田益也子って今なにしているのかな?)。
Muzaは英語、スペイン語で歌う。でも何語かなんてどうでもいい。それはスキャットで歌われる「Gracias」がそのすべてを物語っている。泣いちゃったよ…。透き通る高音とかイマジネイティブな声とかよくいうけど、果たしてそれって一体なんなのだろう。Muzaの声はそして音楽もはっきり言えば類型的なものだ。それで何故彼女の声は音楽はこの胸までの届くのか。それは誰かに恋するのと同じ気持ち。初めてPETEROGLYPH RECORDSのHPでMuzaの名前を見かけた時も不思議に気になったものだ。いいよこの人、惚れちゃってみたら?って感じ?(笑)。
Muzaは我が愛するFlorencia Ruizとも共演している。あ~そういえば音楽的にはアルゼンチンのEloisa Lopezに似ているな。現在3rdアルバム"Electric Bolero"を録音中。彼女のMySpaceで聞くことができるよ!
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by sh2o | 2007-07-16 15:23 | All Frontiers
a0023718_1355457.jpgBaden Powellの息子Phileppe Baden Powellの1stアルバム。
幼少の頃より偉大な父に、そしてLuiz Avellar、Antonio Adolfoに英才教育を受け、現在はパリに活動の拠点を置いているようだ。
さてこの1stアルバムだがCarlos Malta、Hamilton de Holanda、Tiago Espirito Santoを迎えてのインストアルバム。Phileppe本人はピアノ、キーボード(フェンダーローズ)、メロディカそしてソプラノサックスも演奏。非常に充実した内容。叙情的なピアノのフレーズはLuiz AvellarやGilson Peranzzettaに、躍動するJazzFusionっぽさはCesar Camargo Mariano,やAntonio Adolfoに匹敵しているのかも。でも物足りないな~。なんというか「中庸」なのよね。もう一歩踏み込んできてくれないもどかしさがある。まぁそれがあれば速攻魔法で歴史的名盤リスト行きだ。どうもHamilton de HolandaやギターのDiego Figueiredoなどリード奏者と共演している時のほうがいい感じだ。まだまだ1作目。きっと目の覚めるオリジナルフィニッシュを聴かせてくれることだろう。

アメリカで孤軍奮闘?のAdventure Musicからのリリース!
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by sh2o | 2007-07-14 13:54 | Brasileira
7月6日(金) 倉地久美夫@渋谷O-nest
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待ちに待った倉地久美夫の新譜『スーパーちとせ』のレコ発ライブ!
松涛温泉を横目にラブホテル街の坂を上ると、浴衣姿の娘達の姿。彼女達は倉地ファンじゃないよね???って、そりゃそうだ。隣のWESTでの七夕ライブのお客さん達。こっそり浴衣の間を通り抜けてエレベーターで6階へと上がる。こちらの入りはまだまだだ。

入場早々『スーパーちとせ』をGET!見慣れたイラストのドアップジャケット。くぅ~かっこいいぜ!とはいってもジャケ買いされる可能性は少ないか…

ステージに倉地久美夫がアコギを片手に飄々と姿を見せる。チューニング、マイクテスト。なんか変な感じ。でもってそのままなし崩しに照明が落とされてライブが始まった…
東京来てから買ったというアコギの。試奏に熱が入りすぎて思わずボディーを叩いてしまったから買ったという…。そして始まる演奏は新譜より「エチュード」。倉地の足裁きのように酔いどれ草が階段を行ったり着ているかのようなフレーズ。基本手癖なのかもしれないが、裏山の神社に詣でているようなお百度参りのような気分で徐々に爽快感が増していく。2曲目は「絵馬」。これは弾き語り。

そしてメンバー紹介。Bassは稲田誠。Drumsは外山明。稲田のベースは既にセッティングされており、ベースというよりチェロのようだ。稲田がヘルニアだ云々のMCり、「MCる」なる倉地造語(大阪でも聞いた!あれがお初?)で倉地空間に誘い込んだら始まる演奏は「太陽のお正月」。稲田の演奏がかなりアグレッシブだ。まるで網戸の隙間から叩きつける突風のようでちょっとした驚き。で、お次は名曲「観月祭」「サランラップ」と涎だらだら。いいね~「観月祭」。もう今はなくなってしまった大分のお祭りらしい。「サランラップ」での三人の演奏はかなり刺激的。倉地と外山の微妙な対決?が笑いをかみ締める轡のように厳しく硬い。

照明によってステージ後方の壁にできる三人の影が蠢いている様子は、まるで倉地のイラストのような白昼夢が沸いて出てきたかのようだ。それはまた子供のころ見た悪夢が追っかけてきたかのような懐かしい闇に包まれているような気がした。そしてまた度々見られる倉地の一本足立ち姿の美しいことこれはジェスロ・タル、王貞治と並ぶ世界三大一本足姿の美しさだ

「味噌がいっぱい」を演奏するはずが、倉地の様子がおかしい…どうやらチューニング方法を忘れてしまった?ようで「飛ばします」二部で演奏することに。しょうがなく「8mm監督」へ。そして一部は終了。

正直一部はどうも乗り切れない印象。三人の演奏がイマイチぴったり嵌っていないという感じだ。倉地の緊張に飲み込まれているのか、はたまたこの三人での演奏が少ないからか。しかし抱えた若干の不安は、ステージ上に並べられた倉地が新譜『スーパーちとせ』のために書いたイラスト(自画像がほとんど!)とスーパーちとせの盗撮写真で吹き飛ぶ。『スーパーちとせ』購入者にプレゼントとのことだが、どうなることやら…でもどれか欲しい

さてさて倉地がアコギ、エレキと水の入ったグラスを抱えてステージに登場。きっと「いへいへ自分で持ってきます~」とか何とか言ったに違いない…そしてまた何事も無かったかのようにイキナリ始まる。レコ発という柄ではないが新譜からの曲を中心に、というMCり。そして始まるは「霧の嬉野」。ステージで完全再現は不可とのことで、ギターソロアレンジでの演奏だ。これがすごくよかった。「霧」というより乳白色に包まれる「霞」という感触を覚えた。何も見えないのではなく何かが見えなく、どこから聴こえてくるかも分からない音が広がっていく。覚めない夢が倉地の影と一緒に滲み出てきたようだ。

次は『スーパーちとせ』のマスタリングをした宇波拓を招いてのタイトル曲「スーパーちとせ」。まずはトーク「マスタリングでは何が一番苦労しましたか?」との倉地の質問に「バイトを辞めたことですね」との宇波の切り替えし。「予想外の角度」からの回答に倉地むふふ。。。さてこの「スーパーちとせ」の演奏が素晴らしくよかった!二人のギター演奏が静かに始まり、倉地がスーパーちとせを語りだす。恐らくスーパーちとせのお客さん達の会話をモチーフにしたと思われるシーンに突入すると倉地ワールドは一気に加速する。倉地の「アンパン」フレーズにテープの効果音がオーバーラップしだすと、スーパーちとせがフィールド魔法として召喚されたかのような錯覚幻視幻聴。これはかなりヤ・バ・イ

倉地、稲田、外山によるトリオの演奏に戻り「鉄塔」 、「あつい日本」「鉄塔」はやはりいい曲だな。菊地成孔による泣きのサックス部分がどうなるか興味津々だったが、そんな疑問はどこかに消し飛んでしまっていた。得意のロシア民謡?「ステンカラージンの夢」。そして古武道のゆっくりした動き、歩き方を曲にしたという「ゆっくり歩く」 。そしてそして一部で失敗?した「味噌がいっぱい」!なのだが…結局解決したはずの問題が再発し「ごめんなさい」…あ~これは聴きたかったな

気を取り直しアコギに持ち帰る倉地。シールド三番。演奏は再び新譜から「アサヒ!」。この演奏がまたすごかった。スパニッシュ風カッティングを盛り込みながら豪雨のように叩きつけられる倉地のギター。外山の中腰ドラミングは倒木をさらになぎ倒して進んでいく一迅の風。稲田のベースはゴニョゴニョゴリゴリと、はだける裾をさらに押し広げようとする荒れる神社の狛犬の妄想か。これは凄まじい暴風雨だったよ!

これで第二部も終了のはずが。イラスト抽選方法のジャンケンを論じているうちに、これまたなし崩し的にアンコールへと。演奏するは「あなたの風」。さぁスタート!というところで倉地のギターにシールドが差し込まれていないいや~どこまでも倉知ワールド。何かに追いかけられるような演奏。そう自分達の影に追いかけ追い抜にかれ追い抜いていくかのような激烈な演奏だ。稲田の呻きの様な声に呼応する倉地と外山の駆け引き。そして倉知のゆっくりとした足裁きに比例するかのような美しい右手の動きから繰り出される輝く音。

あぁ
美しくもあり醜くもあり
欲して止まない あの時の白昼夢の欠片

あぁ
物寂しい 物足りない
見つけてしまった あの時の白昼夢の風景

ライブ終了後、イラスト抽選ジャンケン大会。
イラスト一枚GETできました
ぎゃおん嬉しいうっふふ~ん

ありがとうございました
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by sh2o | 2007-07-11 11:39 | 倉地久美夫