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Musica Argentina Brasileira All Frontiers


by sh2o

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Wouassi and Roots Band

a0023718_23275346.jpgWouassi and Roots Band
"Le ONDO ts pa toum"

カメルーン発、パリ経由東京行き。Vincent Wouassi Jr.という名の音楽旅行。
1994年にカメルーン国立オーケストラのドラマーとして来日。三味線の音に魅せられ、新内三味線の家元富士松菊三郎氏に弟子入り。その後名取となり富士松ワッシーとなる。そんな不思議?なワッシーの1stアルバムがこれだ。すべて東京のライブハウスでのライブレコーディング。ワッシーの三味線は実に不思議でいて自然なサウンド。ワッシーにとって三味線はアフリカの楽器コラの親戚のように思えたのではないだろうか。聴いていてACTレーベルからリリースされているコラ奏者Soriba Kouyatéのアルバムを思い出した。

ワッシーいいよ。バオバブ三味線!なんて言葉が思い浮かぶ。

しかし不満はある。日本で出会った貴重な仲間たちだとは思うのだが、いかんせんワッシー以外の演奏が「弱い」。"Soul Meringue"での中途半端にラテンなピアノ、そしてベースの迫力の無さはいただけない。"Soran Makossa"もやはり民謡歌手がよかったな。ブラジルのグループMAWACAのソーラン節も面白かったが、このバオバブ三味線ソーラン節も非常に面白い。ワッシーの三味線、パーカッション、ヴォイスのみで録音した"Shinnai Wind"の完成度が目立つようではちょっと寂しい。ワッシーのアイディア、指向が理解されてていたのかという問題もあるのだろうか?それともライブとアルバム録音演奏はまったく別物ということなのだろうか?ライブハウスでの録音ということでの音質の問題もだるのだとは思うが、ワッシーの演奏が面白いだけにもったいない。前述のSoriba KouyatéやチュニジアのDhafer Youssef(ウード片手にフューチャー&スピリチュアルJAZZ)なんてアフリカンな刺激は経験済み。既定の「ワールドミュージック」のりでは満足できない。

三味線片手にカメルーンのミュージシャンとの録音!または民謡歌手たちとの競演っていうのもありだろう。やっぱりパーカッションはインドのタブラ、サックスはやっぱりバリトン(低音が欲しい)または尺八やケーナ、ベースはダブルベースかなぁ。いや、ベースレスでマリンバやカリンバっていう手もある。でもチョッパーベースと三味線のバトルも聴きたいな…などなど期待は止め処ない…ってこれは自分自身が津軽三味線でやりたいことかしらん(笑)?そうだ!師匠の富士松菊三郎氏を連れてカメルーン録音っていうのはどうだろう?!

いずれにしても、こんな面白く楽しい音楽、ミュージシャンがいたなんて驚きだ。
ワッシーの三味線。是非生で聴きたい。
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by sh2o | 2007-11-30 23:30 | 三味線

Buenos Aires Report

a0023718_11431657.jpgPablo Ziegler - Quique Sinesi with Walter Castro
"Buenos Aires Report"


津軽三味線か文楽ばかりの最近。久しぶりに聴くアルゼンチンCD(Florencia Ruizは除く)。いや~いいね、やっぱり!Quique Sinesi最高!なのは当然として、Walter Castroのバンドネオンの音の響きが妙に新鮮というか妙に納得。これは勝手な思い込みだが、津軽三味線の音がどこか日本人としての自分の心に自然にしっくりと馴染むことと、このバンドネオンの音はアルゼンチン、Buenos Airesの人の心にしっくりと納まるのだろうなと、そんな風に感じた。

Pablo Zieglerのアルバムを始めて楽しむことができた気がする。今までにもQuique Sinesi参加作品なども含めて何枚か聴いたが、どれもあまり反応著しいものではなかった。本作は小編成でのライブ盤というのがいいのかな。4曲目のQuiqueのペンによる"Milonga Para Hermeto"が最高だ。HermetoとはもちろんHermeto Pascoalのことだ。Quiqueのギターソロからバンドネオンのソロに移る瞬間の浮遊感、バンドネオンソロからピアノソロへの零れ落ちる高揚感。う~ん、この演奏はいいね!

いろいろなことに惑わされない。
ふっとすれ違っては、やっぱり好きなんだなと微笑みたくなるような。
そんな厳しいけどやさしい、自然と側にある僕のアルゼンチン音楽。
夜明け前にひっそりと、解き放つように聴いていたい。
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by sh2o | 2007-11-29 05:45 | Argentina

近江源氏先陣館

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大阪の国立文楽劇場にて「近江源氏先陣館-和田兵衛上使の段・盛綱陣屋の段」を見る。いや一番の目的は三味線の鶴澤清治の演奏を聴くためだ。鶴澤清治は、昨年重要無形文化財保持者(所謂人間国宝)に認定された浄瑠璃(義太夫または文楽太棹)三味線の第一人者だ。数ヶ月前にNHKにて鶴澤清治のドキュメンタリーを見て依頼、もうどっぷり、アイドル追っかけ状態。ついに自ら三味線まで習いなじめてしまった始末…(残念ながら浄瑠璃三味線ではなく、同じ太棹の津軽三味線)。

それはさておき、鶴澤清治!やはりすごかった!!鶴澤清治の他にも鶴澤燕三、豊澤富助のお二人も三味線奏者も弾いていた。もちろん演目の内容に沿った演奏であるからして一概には言えないが、やはり「切れ」が違う。鶴澤清治の言う「切っ先」の鋭い音。更に左手が棹と弦を扱く音のなんと厳しいことか。開演前に資料室にて浄瑠璃三味線の撥を触らせてもらったのだが、なんと大きく分厚いこと!厚みは5mmぐらいはあるのだろうか。この厚みをどのように生かして演奏しているのかはよくわからないが、鶴澤清治の「切っ先」鋭い演奏には、この大きく分厚い撥の使い方にあるのだろう。実際演奏中に恐らく三の糸と思われるが二回切れてしまっていた。あれだけの撥を手首稼動範囲いっぱい使って振り下ろすのだからそれは切れるわな~。打ち付ける音、押さえつける音、軽く弾く音、それぞれの音がなんと粒だってまた余韻の美しいことか。更に更に惚れました、鶴澤清治に。

来年初春にも国立文楽劇場にて文楽公演がある。もちろん鶴澤清治も出演予定だ。
行ぃかぁねぇぇばぁぁぁあぁ!(義太夫調)笑。
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by sh2o | 2007-11-19 20:24 | 三味線

十牛図 第19回@KD Japon

十牛図 第19回@KD Japon
Bill Horist(Seattle) / Marcos Fernandes(Sandiego) /
marron aka dubmarronics / kei

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きりすっきりすっきりして~ムカプンムカプンだめでぷ~ん。
いや。すごくよかった…このちょっといやらしくもあり、尚且つすっきりした気分はなんだろう。
平尾義之のサックスとターンテーブルの演奏の後、keiとマロンの登場。マロンのLast minutesの記憶の洪水と断層の中で、keiのギターが迸る。時にしつこい人指し指の愛撫で。時に擦りつける自愛で。keiの引き出しの多さ奥深さには本当に驚かされる。直前にインドパーカッション奏者とのDuoライブがあったそうだが、その余韻を引きずりつつ様々な音魂放浪を聴かせる。エレアコでここまで激しく堅い演奏を初めて聴いた!keiの即興が楽しいのはやっぱりROCK!だからだ!!
マロンの怪しい陶酔と渓の静かな倣候が重なった時、亀裂という幻影が音によって始めて露になる。いつも亀裂は目の前にあり、佇み立ち止まり出入りし放ち果てる。それでもした舐めずりをする欲望の亀裂に今、音楽という水と光が流れていく。素晴らしい音楽!ただマロンの凶暴性が濃すぎて、keiの呼吸のような微かなそれでいて凄みのある音がはっきれりと聞き取れない部分があたのが多少残念だったかな。
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そして本命Bill HoristとMarcos Fernandesの演奏だ。 まずはMarcosの姿に驚く。開演前にkeiさんと話をしていたとき、なになやイベント会社の社長っぽい業界っぽいオッサンがいるなぁ…と思っていたらその人がMarcosだった!え~~~~ぇとびっくり(すんません)。で、Marcosはカリスマ実演販売者のようにテーブルに打楽器類を並べ心地良い音が鳴り響く。すごいね。机の上があっというまに草原になり、砂漠になり、森になったような気分だ。シンプルでいながら、それそのままであることが、いかに難しくも気高いことであるかを教えてくれる。
しかし更に驚いたのがBillのギタープレイだ。keiさんの言うとおり、度肝を抜かれた。ひざの上に置いたギターにドライバーやら金属やらシンバルを挟み込み、引っ張るは捻るは叩くは、苛め抜く凶器プレイ。こいつは竜巻を追うストームチェイサーなんだな。自ら弾く暴風雨のような音を、自らが更に追っかけていくんだ、こいつは。狂気の狂気プレイ。しかしそれが単なる暴力ではなく、美しいのが暴風雨ならでは。ふと見上げる沈黙が轟音と同じところから生まれたことの不思議に、唖然とし唯ため息を漏らす。こいつはスゲェ。
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最後は四人による演奏。 これは若干おまけのように感じたが、それはそれ。
充分楽しむことが出来た。
とにかく行ってよかった。
keiさん。ありがとぉうぅ 。
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by sh2o | 2007-11-15 11:46 | All Frontiers

Hugo=雨後 

雨が降ればいいのに。
心の中で唱えていたことが叶う夜。

ウルグアイからきたHugo Fattorusoのライブ@Cafe Dufi。

定刻より遅れて入ると演奏は始まっていた。Hugoのソロ演奏だ。
別に品定めする気は毛頭ないし、そんな資格もない。
ただHugoの音楽の心の中への入り具合を確認しながら一歩一歩聴き進む。
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窓際の席。Hugoの演奏と車の音、人の語らいがシンクロする。心地いい流れ。それはこの場所に来るまでの雑念を忘れられるからに違いない。ふと思う。「雨が降ればいいのに」。雨の音が更にHugoの音を世界に響かせる。いや…ひねくれて埋もれてしまった傷跡に溜まる埃を洗い流してくれるかもしれないから。
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小品が続き若干のブレイクの後HugoのMCで始まる曲にハッとする。Fito Paezの曲"Giros"だ。イントロのミスはどうでもいい。心になじむ風が吹いてくるように、見失いかけていたアルゼンチンへの想いを改めて呼び起こされた。じんわりと浮かんでくる涙と一緒に。このメロディこの空気この匂い。もう二度と忘れない忘れたくない。
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正直、Hugo自身の演奏から何かを大きく感じられたかどうかは、今はよくわからない。普通にライブとしてはものすごく楽しく、とくに二部のヤヒロトモヒロとのDuoなんて食い付き齧りとられる魔法のリズムの奔流だ。だがその奔流が僕の心の血の中に渦巻き刻まれることはなかった。それはもちろんHugoのせいではなく僕の気持ちの所在の問題だ。楽しめるということと、血肉にざわめくこととは別のことだ。この日のカンドンベのリズムは僕にとっては借り物にすぎなかった。考えていたことは、カンドンベリズムを三味線撥捌きでどう表現できるか…(笑)
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気づけば外は小雨。なにかが夢のように通り過ぎていく感触。
それは予感でも希望でもない、ただの光の累積。道の途中であることの証拠。

とにかくウルグアイでもブラジルでもなく「アルゼンチン」への愛情が蘇った、
「アルゼンチン」から愛されていることにまた気づかせてくれたくれた夜。

そして、雨の後を歩く。
もうひとつのことを、叶わないことを想いながら。
いや、叶わないのではなく、届かない、出会いの時間を見失う
そんな夜を…


明日は朝から三味線を弾こう。
何のために?
わかっていることを、わからせるために。
何を?

道は続いていることを。
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by sh2o | 2007-11-10 00:04 | All Frontiers
11/4(日)。
名古屋は金山に「じょんから倶楽部」という民謡会の発表会に行ってきた。
通っている三味線教室の先生がゲスト参加するし、なんていったって無料!(参加者の生徒さんたちは参加費を払っているのかな?)
じょんから倶楽部は近藤みち代さんが代表で、名古屋甚句などでCD出したり有名人のようだ…というか名古屋では草分け的な存在?
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内容は、三味線、太鼓、踊り、唄、相撲甚句、名古屋甚句…なんでもありの盛りだくさんでお腹いっぱい! 二部構成で、一部は「民謡玉手箱」、二部は「津軽の響き」。

一部は主に主催の「じょんから倶楽部」の発表会。これが初体験の雰囲気で面白かった。市民会館(中京大学ホール?)の中ホールでやったのだけど満員!まぁあれだけのゲスト(家元さんや名取、師範の方々)が来るとその関係者もいるので…とは思うけどそれでもすごい!700人くらいはいたのかな。
そんな中で生徒さんたちは発表するのだから緊張したはず。当日が初舞台というおじさんは緊張で、途中で歌えなくなっていたし(このおじさんが相当あやしかった…)、他にもいろいろハプニング満載!「玉手箱」というより「びっくり箱」?笑。でもよくあれだけの観衆の中で歌ったり演奏できるなと感心感動。じいちゃんばあちゃんの為にお孫さんたちが花束贈呈して、それを抱えながら唄うなんてとっても素敵だった。中にはお孫さんたちの三味線演奏をバックに唄っている人も(邦楽一家!)。

二部はゲストの唄、演奏がメイン。踊りや唄や三味線の家元さんや会主の皆さんの素晴らしい舞台を堪能!相撲甚句が意外によくてびっくりした!ドスコイ~ドスコイお皆で合唱。
目玉の二代目中村ひろ美さんと、神谷茂良(たかふみ)さんと中村民謡会の二代目中村隆志さんの三人による三味線合奏が予想以上にすごかった!なかでも神谷茂良の低音(一弦)の響きが半端じゃない。ベンベンバンバンではなく、ガリガリゴリゴリ!なんでそんな音がだせるのか?という感じ。神谷のフレーズは、いわゆる津軽三味線的なものから逸脱しており、非常にモダンでスタイリッシュ。異彩を放っていた。しかし津軽三味線はすごい…音とともに、撥が弦やボディにあたるカチカチという音がホールに響きわたっていた…。

でも一番よかったののは梅若流という秋田民謡・秋田三味線の浅野美和子さん(ビーチバレーの浅野美和じゃない)の秋田三味線!二弦三弦でトリッキーにメロディーを奏で(あくまでも唄の伴奏)ながら、一弦でリズムをビン~ビン~♪と打ち付けていく。単調なんだけど、それがループ状態になっていってすっごく気持ちいい。民族音楽なんかで単調な音楽がトランス状態に導いていくような、そんな一弦のマジカルな響き。奏者の浅野さんも美人だったし(笑)。先述の二代目中村ひろ美さんと、神谷茂良さんと、二代目中村隆志さんの三人による津軽ばやしでの演奏でもトランス状態になりかけた。かっこよかったな!

生徒さんたちの三味線合奏を聴いて「よっしゃ!追いつけ追い越せ~」と思ったと同時に、先生師匠たちの本気の演奏を聴いて愕然としましたです…なんでしょうか、あれは。道はまだまだ。練習あるのみ。

しかしこの発表会。午後1時から始まって終わったのは5時半…。それでも実際すごい楽しめた!隣のオバサン方は延々とおしゃべしながら見てた。「あの人は誰だれの娘」だの「あの人の子供はど~のこうの」。うるさかったけど笑っちゃった。他の皆さんも自由自由。そんなのあり?って感じ。だけどそれがごく自然に見えたな。

ジスモンチ後の、ライブ不感症から抜け出せたかな、という気がする。
というよりも、ジスモンチのライブを聴いたことで、何が変わったのか、少しばかりわかったような感じ。例えば、今までいろんな音楽を聴いてきたけど、自分にとって血となり肉となっている音楽はなんだったのか。または、これからの道となっていく音楽とはなんなのか、という意味で。

まだ確かなものは何も無いけれど。
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by sh2o | 2007-11-05 19:05 | 三味線