Ett 『無茶の茶』
2007年 01月 27日
叙情と旅情と日常とが溶け合っているような「表Ett」的な曲。例えば「空っぽの朝一番」、「維摩の一黙」、「草枕」。
1/24のライブでこれらの「表Ett」の曲たちを聴いた。Keiの土壁のようなあっさり零れる土くれと、しなり跳ね返り折れる竹のように、確かに痕跡を残すギター。夢で聴いた風の音、鳥の声、生活の喧騒が正夢になってそこにあるような独特の存在感の西本さゆりの声。それはもう誰もいない日本家屋の庭に佇んでいるような不思議な居心地のよさ。
愛情と無常と非日常がかすんでいるような「裏Ett」な曲。例えば「ある店主の唄」、「ムーディー・ストゥーディオ」、「無頼の免許書」。これらが実にいい。日常に染み出す悪意や悪戯や悪寒を隠すわけも無く、快食快眠快便快楽を自由にするわけでもない。本当に自然なんだ。それに「六月、七月、八月、九月(緑)」のやっちゃった中近東風味が絶妙にクレイジーブルージー!(AREAの曲の続編なの?笑)
それらが混沌するわけでも、陳列されているわけでもない。
そして「表Ett」と「裏Ett」の狭間にある「楽しや汽車の旅」、「歯磨きの唄」で諧謔の階段を逆上がり。
さらに名曲「雨男」。これは、さゆり子守唄バージョンか。ミニアルバム収録の「雨男」のほうが実に色気たっぷりだ。多分ミニアルバムのほうは本当に雨の日に録音したのだろう。
Ettは、「俳句PoPs」と呼ばれたりするが、それはただ単に響き美しい日本語で歌っている、ということだけでなく、聴くたびに同じ言葉と同じメロディーでもその日の天気や気分によって表情がその都度違って聴こえるから。
『無茶の茶』は、そんなEttの俳句PoPsの新たなる境地、或いは到達点から見下ろす新たなる光景といえるだろう。三徳山三仏寺のお堂からみる景色に似ている気がする。
素っ気無さは、素っ頓狂さ
さりげなさは、頼りなげ
吠えるか 微笑むかは
ほら吹きの 方向次第
初回プレスは茶袋パッケージの特殊仕様。
みんなこれで楽しもう!
2/5(月)発売!!!
by sh2o
| 2007-01-27 09:40
| Ett